T20代ITキャリアデザイン
20代ITキャリアのエンジニアは、ITキャリアの基礎を固める時期だ。ITエンジニアを志す若者はややもすると自分の世界に閉じこもってそれを良しとする傾向があるかも知れない。しかしながら実際の世の中は、さまざまな人々との不思議なご縁でなりたっている。そのような人間社会の一員であるという自覚は忘れないようにしたい。ひとそれぞれ、価値観が異なる。したがって、多様な価値観を持った人々と折り合いをつけていかなければならない。自己の価値観に固執することなく広く他の価値観も理解することに努めよう。
学生から新入社員として会社に入った段階で、事前に描いていた企業や仕事のイメージと実際の現実とのギャップが大きいことに驚いているケースが多く見られる。しかしながら、誰でも多かれ少なかれこのような新しいステージへの戸惑いはある。この時期は仕事への適性や希望条件などを考えずに、まず、与えられた仕事に全力でぶつかってみて、そこに没頭する経験を何度も重ねて全てを吸収することだ。成功ばかりではなく失敗経験も貴重だ。上司、先輩、同僚、顧客、得意先との関係づくりは、ヒューマンファクターを育てることに通じる。最初の3〜5年間の経験は、第一段階のITキャリアとして価値あるものとして評価される。この段階で、仕事の適性や会社の組織風土、経営理念などの面で、自分が描くITキャリアゴールとのギャップがあると判断した場合は、今のままで我慢せずに、会社を転職することもひとつの選択肢になるだろう。
要約すると、20代ITキャリアデザインは:
第一に、20代ITキャリアデザインは、最初に入社した会社でITキャリアの基礎をつくること。与えられた仕事について好き嫌いを考えずに自分のものにすることだ。脇目も振らずに前を向いて全力疾走してその苦労した轍を残すことだ。その経験は必ずや将来の仕事に役に立ってくる。
第二に、20代ITキャリアをマスターすることには、専門のIT業務(個人要因)を主体にして、組織、職場、業種、資本(外部要因)やITキャリア発達過程の節目の段階で個人の選択に影響を受けた人々(友人、上司、家族など)までの範囲が関係してくる。
第三に、キャリアデザインの要素としては、次の3つがある。
- 自己イメージ:自分の得意なものは何か:才能
- 自分は一体全体何をやりたいのか:欲求
- どうしたら意味のある、社会に貢献できていると実感できるか:価値
これらについて自己分析するところから始まる。
U20代後半、ITジュニアキャリアの基礎固め
20代後半のITキャリアは、コアとなるIT分野の基礎固めを目標とすることである。そのためには、コアの仕事をより深掘りする一方、コアの仕事を拡げていくことである。
この段階では、一つには、最初からゴールを決めずに与えられた短期の課題を全力でこなしていくことである(対課題基礎力)。 もう一つは、職場の先輩、上司、同僚や取引先、顧客までの人間関係力を深めていくことである。(対人基礎力)
20代後半のITエンジニアの転職市場での価値は、自己の専門分野の仕事の基礎がきちんと固められているかが問われる。3年〜5年やってみて、仕事、職場、会社が自己のキャリア目標に合致しない場合は、キャリアの自己分析の結果如何で、いたずらにそこで我慢するのではなく、若手人材の雇用に積極的で、かつIT部門の組織戦略が明確な外部企業への転職も選択肢のひとつになる。
V多様化する20代ITエンジニアの雇用形態
いまやITエンジニアの雇用形態は正社員として処遇されるケースは、ほぼ半数に過ぎない。新卒時に正社員として採用されて、そのまま同一の会社で20代後半を迎えるITエンジニアは、新卒で働く人のおよそ4割に過ぎない。正社員として採用される人がほぼ5割。そのうち3割は3年以内に退職する。言いかえれば、過半数がこれ以外の多様な雇用形態で20代のITキャリアを歩んでいることになる。
入社時は派遣社員の処遇で働いていて、そこから正社員としての登用の道を上っていく人や、アルバイトの臨時雇用の処遇から正社員の道を探る人もいる。いずれも正社員への道は厳しいのが現状である。
あるいは、最近では契約社員という雇用契約で採用されて、その処遇で毎年契約更新がなされ、その経験が20代のキャリアとなるケースも多くなってきている。また最近は当初からフリーターの処遇で働く人も多くなってきた。あるいは、業務受託で一定期間仕事をするケースもある。
このように、従来のように正社員採用が主流だった時代に比べて、今日ではむしろ正社員以外の多様化した処遇が大勢を占めている。労働力の需給バランスのグローバル化である。中国やインドのITエンジニアも転職市場のライバルである。
上記のITキャリア選択肢が有効か否かを決めるのは、次の二つのポイントである。
- そのキャリアは第一段階のITキャリア価値を高めるのに役立っているか
- そのキャリアは自分の描くITキャリア目標に適っているか
この二つがかなえられていなければ、キャリアデザインを見直したほうがいいだろう。
ポイントは、転職市場で付加価値のあるITキャリア、売れるIT人材の条件をクリアすることが出来るかどうかだ。換言すれば、IT転職市場の需給バランスに沿ってコアのITキャリアを磨くことだ。
W30歳前後のITキャリアデザイン
この時期は、キャリアの節目と言える時期である。入社して5年位たった頃からのITキャリアデザインは、ようやく一人前に仕事ができるようになっている頃であるし、少し余裕を持って周囲を見渡せるようになってくる頃である。要するにジュニアキャリアの基礎固めが出来上がった時期だ。このITキャリアの第一段階に立って、その後5年先、10年先に到達すべきITキャリア目標について、具体的なイメージは湧くだろうか。
30歳前後の一人前のITキャリアの持ち主から、向こう5年経過した35歳頃のITプロフェッショナル・キャリア確立時期に至るまでのキャリアデザインは、その後のITキャリア目標実現を左右するうえで非常に重要な意味を持ってくる。
ここでは、二つの選択肢がある。ひとつには、ITジュニアキャリアを築いた現在の会社で更にITプロフェッショナルとして幾多のチャレンジングな課題を遂行しながらITキャリアの高みに上がっていく選択肢を取るのか、もうひとつは、基礎固めを終えたITキャリアを引っ提げて、現在の会社で勝負するのではなく、自己のITキャリア目標を実現できる可能性の高い企業、あるいは広くawayで戦えるようなグローバルな企業を転職先として求めていくのか、この時期はキャリア選択の岐路に立っていることを十分認識する必要がある。自己選択、自己責任の決断が求められている。
転職を決断した場合は、次のような考え方が時代性を有するだろう。
今日、やや案件停滞が見られるとは言え、Venture Businessへの転職先が一つの選択肢だ。既に存在するVBに興味を持ち、そこに転職しようとするITエンジニアが多いだろう。VBを新たに立ち上げるのではなくVBを転職先の対象に選ぶことだ。
VBから評価されるには、不断の努力を続けながら、必ずやビジネスの成功に貢献できる能力と情熱を備えていることが条件だ。大企業にいようとVBにいようと、独りよがりになるのではなく、常に自己のITエンジニアとしての価値(バリュ―)とは何かを意識することだ。言いかえれば、市場価値を有する、売れる人材としてのキャリアの中身を仕事を通じて一皮も二皮も剥けるような泥臭い体験をしながら創り上げることだ。その環境が用意されていないような会社ならば、バリューやコアコンピタンスを自己と共有できる転職先を選んだらよい。
ITエンジニアは今の会社で自己の課題消化に埋没されることなく、もっと変化を求めて移動した方が良い。今まで見えてこなかったものが見えてくる。この変化の激しい時代にあって、自己のITキャリアの高みを求めてもっと会社を変わった方が良い。動くことによって自己のITキャリアの市場価値を認識評価することができる。どのように動いていけば良いかを肌で戦略的に考えるようになる。アウェイの世界が自己を目覚めさせてくれる。
X30代半ばのITキャリアデザイン
この年齢層は、まさにITキャリアプロフェッショナルとしてITシステムの構築、開発、メンテナンス、各種ITサービスなどの自己の専門分野の課題に対して自己の役割と責任を遂行できるだけの能力と実績を有することが求められる。
30代半ばのITキャリア職種としては、
- ITアーキテクト
- プロジェクト・マネジャー
- ITスペシャリスト
- アプリケーション・スペシャリスト
- コンサルタント
- マーケティング
- 営業
- 教育研修
この年齢層のITキャリアの持ち主は、自己の専門分野のプロフェッショナリティが問われる。
企業では本人の資質よりも実績成果が重視される。いくら能力があっても成果に現れなくては価値がない。当人の資質、能力が会社の目標、収益(結果)にどのように貢献したかという視点が大切だ。いま、プロフェッショナルとスペシャリストの二極化が進んでいる。さらに今日のグローバル経済の観点から中国やインドのITエンジニアとも競合している。わが社だけで通用するクローズドのキャリアではなく、広くグローバル基準にまでITキャリアの中身を高めることが必要だ。
- プロフェッショナル:
- 自己の専門性を誰に対して提供するのかという顧客(社内であっても)の存在が明確なこと。
如何なる手順でどのような形で仕事を進めていけば顧客が満足し、顧客の所期の目標を遂行できるか、さらに顧客のニーズにだけ対応するのではなく、本質を突いた企画提案ができるか。基本的にマクロのグローバルな視点を持った自己完結型の自立的なビジネスプロフェッショナル。 - スペシャリスト:
- IT技術の専門家ではあるが、そのIT技術レベルを高めて、課題を遂行するのが第一義。顧客の価値については必ずしも意識していない。代替性が高い職種。
- ITプロフェッショナルになるための視点:
-
- 経営の視点:自己のIT技術を事業モデルにまで昇華させて、企業収益を得ていくという視点が求められる。
- 顧客(カスタマー)への感度を高める:広く人間に対する理解と認識、行動。ソリューション・コンサルティング力の醸成。CRMの視点。マーケットへの理解。顧客との信頼関係構築の視点。
Y ITプロフェッショナルのキャリアパス
まず第一に、自己の専門分野のITスキルは当然のこと、その他、コミュニケーション・スキルやコンピュータ・アーキテクチャーの知識など普遍的なコアスキルを具備することだ。第二に、自分がITプロフェッショナルだという自覚を持つこと、その力量が顧客から指名される証左になる。また、それがトップマネジメントからITのプロとして評価され、マネジリアルな課題をアサインされることに通じる。第三に、仕事は何でも自分一人では成し遂げられない。関係する人々とのチームワークの重要性を認識することだ。
ITプロフェッショナルが備えるべき7つのコアスキル:
技術スキル:1.セキュリティ 2.Web/インターネット 3.アルゴリズムやアーキテクチャ等のコンピュータ基本知識
アプリケーション・スキル:4.業種・業務知識
ビジネス・スキル:5.コミュニケーション・スキル 6.会計や法律などのビジネス知識
マネジメント・スキル:プロジェクト・マネジメントの知識、マネジメントリーダーシップの知識
| キャリア職種 | ジョブカテゴリー | レベル (1 〜 7) |
| コンサルタント | IT | 4 〜 7 |
| Business Transformation | 4 〜 7 | |
| パッケージ適用 | 5 〜 7 | |
| ITアーキテクト | アプリケーション・アーキテクチャ | 4 〜 7 |
| データサ−ビス・アーキテクチャ | 4 〜 7 | |
| ネットワーク・アーキテクチャ | 5 〜 6 | |
| セキュリティ・アーキテクチャ | 5 〜 6 | |
| プロジェクト・マネジャー | システム開発/アプリケーション開発/システムインテグレーション | 3 〜 7 |
| ネットワーク・サービス | 4 〜 6 | |
| E ビジネス・ソリューション | 6 〜 7 | |
| ITスペシャリスト | プラットフォーム | 1 〜 6 |
| システム管理 | 1 〜 6 | |
| データベース | 1 〜 6 | |
| ネットワーク | 1 〜 6 | |
| クライアントサーバー | 1 〜 6 | |
| セキュリティ | 1 〜 6 | |
| アプリケーション・スペシャリスト | 業務システム | 1 〜 6 |
| 業務パッケージ | 1 〜 6 | |
| ソフトウェア開発 | 基本ソフト | 1 〜 6 |
| ミドルソフト | 1 〜 6 | |
| 応用ソフト | 1 〜 6 | |
| マーケティング | マーケティング・マネジメント | 5 〜 7 |
| 販売チャネル戦略 | 4 〜 6 | |
| マーケット・コミュニケーション | 3 〜 6 | |
| 営業 | 訪問型コンサルティング営業 | 1 〜 7 |
| 訪問型製品営業 | 1 〜 6 | |
| メディア利用型営業 | 1 〜 5 | |
| カスタマー・サービス | ハードウェア | 1 〜 5 |
| ソフトウェア | 1 〜 5 | |
| ファシリティ・マネジメント | 1 〜 6 | |
| 運用 | システム運用 | 1 〜 5 |
| ネットワーク運用 | 1 〜 5 | |
| カスタマー・サポート | 1 〜 5 | |
| 教育 | 研修企画 | 4 〜 6 |
| 講師 | 3 〜 6 |
レベル1:年収250〜350万円/経験年数2〜3年
レベル2:年収350〜450万円/経験年数4〜5年
レベル3:年収450〜550万円/経験年数7〜8年
レベル4:年収600〜700万円/経験年数10年
レベル5:年収800〜900万円程度/経験年数15年
レベル6:年収1000万円程度/経験年数20年
レベル7:年収1200万円程度/経験年数25年
